これは『鏡の国』の跋詩の最終行は、ジョン・キーツの詩を引用しているのではないかという私の疑問に、大阪府立大学名誉教授安藤幸江先生(英文学、特にキーツの研究がご専門)が答えてくださったものです。ミクシィの日記への書き込みという形をとっており、先生は
ゆき、私は
ホワイト・ナイトというハンドルネームになっています。先生のお許しを得てそのまま転載いたします。(ただし絵文字はカット)
ホワイト・ナイト 2010年07月09日17:22 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『ブライト・スター』という、ジョン・キーツの晩年(といっても25歳で没)を描いた、素晴らしい
映画を見てきました。これが縁でキーツの詩集を見ているとこんな詩に出会いました。
彼の1814年作のOn Deathという詩はこんな風に始ります。
Can death be sleep, when life is but a dream,
And scenes of bliss pass as a phantom by?
「鏡の国のアリス」の跋詩の終わり部分
Ever drifting down the stream --
Lingering in the golden gleam --
Life, what is it but a dream?
の最終行は、マーチン・ガードナーも示しているように
Row, row, row your boat
Gently down the stream,
Merrily, merrily, merrily, merrily,
Life is but a dream.
を踏まえていると考えられ、そのことを以前書いたことがあります。
http://www.alice-it.com/wonderouserland/chapter1a.html
キャロルの蔵書には、キーツの詩集が3種ありますので、ひょっとしたら
キーツの上の詩が頭にあったのかもしれません。