THE WILLOW-TREE |
柳 の 木 |
THE morn was bright, the steeds were light, The
wedding guests were gay: Young
Ellen stood within the wood And
watched them pass away. She
scarcely saw the gallant train: The
tear-drop dimmed her e'e: Unheard
the maiden did complain Beneath the Willow-Tree. - "Oh,
Robin, thou didst love me well, Till,
on a bitter day, She
came, the Lady Isabel, And
stole thy heart away. My
tears are vain: I live again In
days that used to be, When
I could meet thy welcome feet Beneath the Willow-Tree. - "Oh,
Willow gray, I may not stay Till
Spring renew thy leaf; But
I will hide myself away, And
nurse a lonely grief. It
shall not dim Life's joy for him: My
tears he shall not see: While
he is by, I'll come not nigh My weeping Willow-Tree. "But
when I die, oh, let me lie Beneath
thy loving shade, That
he may loiter careless by, Where
I am lowly laid. And
let the white white marble tell, If
he should stoop to see, 'Here
lies a maid that loved thee well, Beneath
the Willow-Tree.'" - |
朝日輝き、駒足軽やか 婚儀のまろうど声さんざめく 若きエレンは茂みの蔭で 過ぎ行くさまを見守れり 落ちる涙で目は曇り 華やかな行列かすみて見えぬ 乙女はかこつ人知れず この柳の木の下で
「ああ、ロビン、かくも愛してくれたのに、 それは切ないあの日まで イザベル姫がやってきて あなたの心を盗んでいった 無駄に流した私の涙 思い出の日々を再び生きる あなたは駆け寄り私を抱いた この柳の木の下で 「ああ、色あせし柳よ 御身が若葉つけるまで はるか遠く身を隠し 悲しみ独り耐えましょう 彼の幸せ壊さぬように 彼に涙を見せぬよう 彼が近くにいるうちは しだれ柳に近づかぬ 「でも、私が死んだなら 私が横たわるその傍を あるとき彼が迷い来て 屈んで見るかも知れませぬ 白い大理石の墓碑銘は 『あなたをこよなく愛した乙女、ここに眠る |
これは唄うことを前提に作られたものです。初出Mischmasch(1859)では英国の古い調べにあわせて書いたと前置きがありますし、Phamtasmagoria(1969)は題そのものがStanzas for Music(音楽のために歌詞)とされています。キャロルがこの詩を愛し,最後の詩集The three Sunsets and Other Poems(1898)にも収録しています。 題材はバラード風で、どこでもありそうな平凡なテーマですが、男女の変心は、くり返し、くり返し唄われ、しかも、何度聞いても心の奥に響くテーマでもあります。愛することの原型がここにあるからです。キャロルが古い民謡を意識しているので、訳も古風にしてみました。 Willowはシェイクスピアの「オセロ」の中で死ぬ前のデスデモナが歌い、「ハムレット」ではオフェーリアも柳の木の下で死ぬので有名ですが、柳は死と縁が深く、中国やトルコでは墓地に植えられるそうです。 古い民謡をインターネットで調べておりましたら、こんなのが目につきましたので、下に掲げておきます。キャロルより古いものと思われますが年代は分かりません。男性が女性の心変わりを歌っており、立場は逆ですが、同じように Beneath the willow tree がリフレインされているので、キャロルがこの詩を念頭に作詞したことも考えられます。 The
Willow Tree O take me in your arms, love http://www.contemplator.com/england/willow.html [詩の大意] ねえ、僕を抱きしめて。風がヒューヒュー吹いている。ねえ、僕を抱しめて。悲しくてたまらない。// 彼女は応えず、うわの空。僕の言うこと決して聞かぬ。僕はひとり死んでいこう。この柳の木の下で。 // 彼女は金持ち、器量よし。良家の息子がしきりと求婚。僕が貧しいそのために 彼女は僕をこけにする。 // 彼女の髪を飾ったリボン 僕に残った唯一の形見。僕はひとり死んでいこう。この柳の木の下で。 // かって僕も金持ちだった。財産尽きると思わなかった。昔、金持ちだった頃、彼を親友と思っていた。 // 僕が財産無くして見れば その親友は手のひら返し 僕の恋人奪っていった。僕はひとり死んでいこう。この柳の木の下で。 |