アリスとチェシャ猫との対話(10)

52 猫: とりあえず二つのご質問にお答えします。
 第一の質問は、直観はどこから来るかということですが、一部が後ろの出入口から来たものであることは確実ですが、また全部がそうではないことも確実だと思います。以前にも申しあげたとおり、直観も直感も必ずしもいつも正しいとは限りません。後ろの出入り口から来るものは常に正しく、そして場合によっては神秘体験と呼ばれるようなものであることがあります。それ以外のものは正しいこともあり、正しくないこともあり、決して神秘体験ではありません。そのようなものがどこから来るかということについては、私は次のように考えています。
 一つは無意識が他の心の無意識とつながっていることによるもの。ユングのいう集合無意識などもそのようなものではないかと思います。もう一つは、私たちの思考や感情あるいは感覚が他の心の思考や感情、感覚を直接受信する何かを持っているのではないかと考えます。つまり、私たちの心は見かけほど独立しているものではないのではないか、と言うことです。
 第二の質問は、後ろの出入り口を大きく開ける方法はあるのか、ということですが、それこそまさしくすべての宗教が求め、そして伝えようとしているものであると思います。後ろの出入り口が大きく開いて、心の中と実在世界とが一つにつながった状態が、仏教でいえば悟りの状態、キリスト教でいえば救いの状態です。
 先日ご紹介した A Course In Miracles という本もその方法について書いています。この本、三部構成になっていて、 Text 、  Workbook for Students 、Manual for Teachers にわかれていますが、もしお読みになるなら、はじめにPreface (これがなかなか面白いです)を読まれたあと、いきなり Workbook を読まれるのがよいと思います。365課のレッスンになっていて、一日一課以上進むなと書いてありますのでゆっくり読めます。 Text の方は平行してゆっくり読めばよ
いと思いますが、キリスト教にまったくなじみのない方にはすこし読みにくいかも知れません。

53 アリス:直観、直感は色々なチャネルからやって来るようですね。しかも「正しいもの」とそうでないものがある。これと私たちが「こうしたい」という意欲との関連などについてもお聞きしたい気がしますが、ひとまず、この問題から離れることにしましょう。きっと、又この問題に戻ってくると思いますが・・・

  ご教示いただいたA Course In Miracles ですが、amazonから本が届く前に、それに準拠して書かれた、Geralg G Jampolskyの Forgiveness それから、一緒に注文していたMiracle Distribution CenterのAn introduction to A Course In Miracles を読みました。

 今は、A Course In Miracles のPreface を読み終えtextを10ページ読んだところです。アドバイスに従い、Workbook for Students を毎日1課ずつ読むことにましょう。

  どうやら曲者は自我egoにあるようで、これは半年ほど前にもお話した、Erich FrommのThe Art of Lovingで感じたegoが問題であるという強烈なインパクトと軌を一にしているように思いました。

 ところで、前回の対話で示された2つの図解のうち、普通我々は第一のモデルで考えている。もっと単純に感覚ー意識の構図で自分を捉えていますね。その中で自分というものが形成される。そう思うのは幻覚なのでしょうか?自分を形成しながら、自分を拘束?している。どうしてそうなるのか何かお考えがあればお聞かせください。

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