アリス、アリスに会う  76−81 

76  : アリスさんの見ている世界――アリスさんにとって現実だと思われる世界――を変えるのは、アリスさん一人のエネルギーです。それが自分の身の回りのことであろうと、遠い異国の政治家の話であろうと同じです。同様に、私が見ている世界を変えるのは、私のエネルギーです。これは、一人一人別々の世界を体験しているということを意味しています。これがいちばん理解しにくいところでしょうね。

キャラクターのエネルギーか、送り込んでいるもののエネルギーか、といえば、キャラクターのエネルギーです。私の言葉でいえば「エゴ」のエネルギーです。私たちが体験する世界は、エゴのエネルギーレベルで体験する仮想現実です。したがって、その体験内容を変えようとするなら、エゴのエネルギーレベルを変えなければならないのです。

77 アリスエゴのエネルギーレベルを変えると言うことをもう少しお話いただけませんか?そうすれば、猫さんのおっしゃるエネルギーの本質が分ると思いますので・・・

78  : エネルギーレベルが高くなるというこことは、一言で言えば、愛情が深くなるということです。ですから、私はこのエネルギーを「愛のエネルギー」と呼びます。

 この世における「愛情」という言葉のニュアンスには多少問題もありますが、あえてこの言葉を使います。

 このエネルギーレベルの高い人は、決して人を非難しません。自分の不運を嘆くこともしません。そのような悪や不如意と思われるようなものも含めて、あらゆるものに、あらゆる人に、愛と祝福を注ぎます。この人の心の中には、つねに愛と祝福、喜びと感謝の気持ちが満ちあふれています。

 これがエネルギーレベルが高いということです。 

79 アリス:愛のエネルギーのレベルの高さによって、どんな現象が生じるか、猫さんのお考えは分りました。この「愛」はエゴの持つエネルギーだとして、このことを『魂のインターネット』の第一部にある図解、あるいは前の対話「自分を探すアリス」の中の図解http://www.alice-it.com/noguchi/alicecat9html.html

を使って説明できるのでしょうか?そして、エネルギーのレベルを上げ下げするにはどうすれば良いのでしょうか?

80  : 図解せよとのことなので、2枚の図をつくりました。図1は私たちのふつうの状態です。卵形の図が私たちの心を表しています。外側のピンクの領域は霊性の世界を示しています。霊性の本質は愛エネルギーですからピンク色にしました。私たちの心というのは、霊性の領域の中にある個別化された部分領域なのです。この個別化された領域をエゴだと考えていいでしょう。

 その中は青みがかった灰色で示されていますが、これは愛エネルギーが薄くて、暗い感じを示しています。その中に左からXCSCという三つの領域が示されています。Xは仮想体験スクリーンで、そこに映し出された映像を私たちは外界だと思っています。その右側にあるC領域は顕在意識です。Xを外界だと思い込むのはこの意識です。その右側にSCという領域があります。これは潜在意識です。Xに映る映像はCSCを合わせた意識全体の影なのですが、Cに比べるとSCのほうが圧倒的に大きいので、CXの映像が自分の意識の影だということに気づいていません。心の右側のほうに口が開いていて、外のピンクのエネルギーは心の中に入ろうとしますが、SCがそれを阻止しています。私たちの心の中が暗いのは、SCがピンクの光が入ってくるのをふさいでいるからなのです。

 図2にもう一つの心を描きました。この心では潜在意識がなくなって、全体がピンク色になっています。顕在意識Cは個別領域の内部ですが、これは外の霊界と完全につながり一体になっています。これが心が愛エネルギーに満ちあふれた状態、いわば理想的な状態です。仮想体験スクリーンはまだありますが、意識が完全にピンク色になっているので、Xもピンク色になっています。Xに映る世界の姿は、意識の影だからです。心の右側にある入り口からピンクの光が入ってきて、CSCの影をXに写すのだと考えてください。入り口とスクリーンの間にCSCがあったとしても、それがピンク色の光に対して透明になれば、Xは自動的にピンク色になるのです。

 次に、エネルギーのレベルを上げ下げするにはどうすれば良いか、というご質問ですが、図1と図2を見比べれば、何をすればいいかは一目瞭然だと思います。一言で言えば、心をきれいにすればいいのです。

 まず最も重要なのは、そうしようという強い意思です。人間というのは、究極的には意思がその中心であって、自分がどういう意思を持っているかということに責任を持ってください。

 その強い意志で、心の中で「何かを非難する」ということを全部やめてください。「他人を非難すること」「自分を非難すること」「物事を非難すること」「自分の運命を非難すること」・・・その他ありとあらゆる非難をやめる決意をしてください。そして、非難する代わりに、あらゆるものに対して、無条件に無差別に愛と祝福の気持ちを持ち続けてください。「愛とはよいものに対するご褒美」ではなく、「病気を癒すための注射なのだ」と考えてください。

これは、潜在意識に新しいゴミを作らないための措置です。潜在意識というのは、顕在意識が考えたり感じたりしたことの残骸の集積所です。海底にプランクトンの死骸が降り積もるように、潜在意識の中には顕在意識の中で生きていた思考や感情の死骸が降り積もっているのです。顕在意識が非難の心を持ち続けると、それは潜在意識に蓄積され、愛のエネルギを阻止する障害物になります。顕在意識が愛と祝福の気持ちを持ち続ければ、それは潜在意識の中で、愛のエネルギーを通す通路になります。

 次に、潜在意識そのものを掃除しなければなりません。最初は通常の心理学が扱うようなトラウマやストレス、コンプレックスなどを癒すことが必要です。その次には、座禅や瞑想によって、もっと深いところにあるゴミを除去します。それらは、通常の心理学や通常の思想によっては、ゴミだと思われていないようなものです。通常ゴミだと思われていないようなものをゴミだとして除去できるようになるためには、霊的な指導書などを読んで、それがゴミなのだと認識しなければなりません。そうすると座禅や瞑想でそれらを動かすことができるようになります。

 ここまでは、自分で意識して努力することが出来ますが、その先は自分でコントロールすることは出来ません。それは、潜在意識の雲の隙間を通してピンクの光が差し込むようなことが起こったときに、自動的に発生します。それは、瞑想などによっても除去できないほど深いところにあるゴミを焼却する作業です。

 そのようなことが進行していくと、やがて顕在意識の中にピンクの光が少しずつとどまるようになってきます。その頃になれば、自分が昔と変わったということを自分でも感じることができるようになるでしょう。

81 アリス:図を掲げて丁寧なご説明ありがとうございました。このモデルに馴染んで来たせいもあって、猫さんのお答えも少し予測できるようになりました。

愛のエネルギーはもともと充満していたのですね。

ところが、自分の意思でブラインドを閉め暗くしている。なぜそんなことをするのかといえば、猫さんの説では、一種の遊びだということになるのだと思います。

障害を取り除く際の、意思の動かし方についてお教えいただいたわけですが、愛のエネルギーの性質が少し分ったところで、話を戻し、どうして愛のエネルギーが下がると争いを好むようになるのでしょうか?

82 猫  このご質問は、半分正当で半分は「?」のような感じです。水は温度が下がるとなぜ氷になるのか、という質問に似ていますね。答えの半分は「自然の法則です」という答えです。

けれども、それだけではあまりに不親切なので、少しこまかく見てみましょう。実は答えも水の場合によく似ています。愛のエネルギーが減少したときに起こる心の変化は、熱エネルギーが減少したときに起こる水の変化によく似ているのです。

熱エネルギーが減少して温度が下がっていくと、水は相変化(そうへんか)という現象を起こして、部分的に固体になります。液体の水に固体の氷が浮いているような状態になります。さらに温度が下がると、液体の部分がなくなり、全部固体になります。しかもさらに温度が下がると、氷はますます固くなり、砕けた破片はナイフのように鋭くなっていきます。

愛エネルギーが減少したときに起こる心の変化もこれに似ています。愛エネルギーが減少すると、心は次第に流動性を失い、部分的に凍り始めます。液体の水は他の部分と自由に混ざり合うのに、固体になると混ざり合いません。それと同じように、凍った心はほかの部分と混ざり合わなくなり、それを「他者」として認識するようになります。さらに、固くなった心は他者を傷つけるようになり、互いに警戒心を持つようになります。そのようにして、凍った心の破片が互いに争いながら生きるようになるのです。私たちの体験する世界の中に争いが満ちているのは、私たちの心が凍って砕けているしるしなのです。

逆に愛エネルギーが増加して温度が上がってくると、固い氷のような心は次第に柔らかくなり、他者を受け入れやすくなります。そして、さらに温度が上がると、他者と融合して、自他一体の自覚を持つことができるようになります。水と同じように、心も相変化を起こすのだと、私は考えています。

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