撮影 岡修爾
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       歌仙両吟
         『梅だよりの巻
平戸真砂男
宮垣 余間
初折表 なにわよりネットで届く梅だより 余間
    地引網より鯛躍り出で 真砂男
異国にてイチローも踏む春の土
    風爽やかに少女縄跳び
噴水の 音も静まる 十三夜
    旅雁に想う 故郷の顔 
初折裏 方便も通るこの世や柿紅葉
    真紅の衣装でフラメンコ舞う 
投げキスを大きく返すマタドール
          恋の技にも緩急のあり
iモードで細かく刻むラブコール
    宅急便にて早もぎの梨
竹篭に伊那の谷風薫なり
    天竜下れば残月揺れて 
鮎に飽き籐の枕や浅き夢 
    森の香りを木霊が運び  
花散るや木こりの含む昼の酒 
    春の宴に猩々を舞う 
名残の表 ワキ僧の如く動かず蟇蛙 
    隣部屋より琴の音して   
五七五のリズム掴めぬ夢の中
    いまだ辞世の出来ぬ忠度
置炬燵これが最後と口説かれて
   それに答えず渋茶注ぐなり
湯浴みして久しき人を待ち居たり
    瀬音激しき山の隠れ家
ひとしきり大立ち回り忍者村
    伊賀の狸のだらりのふぐり
名残の裏 母の忌の月見の肴いなり寿司
   漆の剥げし盆の懐かし
朝寒し翁の面のまだらなる
   顔も洗わず早や絵筆執る
いまは亡きあの舞の手を残像に 
   モノクロ映画の雨しきり降る 
花散って大見得を切る村芝居 
   牛も一声春たけてゆく   
*
2001年2月10日首 2002年2月18日尾

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