不思議の国より不思議な国のアリス 
まえがきと凡例 Preface

まえがき

  私は一口に言えばアマチュアです。精しく言いますと、英文学者でも、まして、ビクトリア文学、ルイス・キャロル、児童文学、ノンセンス文学、心理学、言語学、哲学などの専門家でもありません。また、キャロルのように数学者でも写真家でもなく、牧師の資格もありません。

ですから、ここに書かれていることを真に受けてはいけません。

私も、できれば、学者として、本を買う喜び、先人の跡を調べる喜び、それを批判する喜び、仲間と議論する喜び、長い思索の後の発見の喜び、学会に出る喜び、人に講義する喜び、本を書く喜び・・・そんな喜びを味わいながら、お金と名誉を手に入れる喜びを味わえれば、どんなに幸せかと思います。たとえ、最後の2つがなくても、きっと幸せでしょう。でも、私には、もう、学者になる時間はなさそうです。

 では、どうするのかと問われれば、アリスと同様「不思議の国」で遊ぶしかありません。学者にならない穴埋めとして、勝手にいろんな「学」「論」を作りますが・・・

  私は、酒と本と人生を愛する一市井人です。舟遊びをした頃のアリスと比べると半世紀以上も年上となりました。でも、私は、今、人生のGolden Afternoonにいると思っています。どうか一緒に遊んでください。

                                             宮垣 弘


【凡例】

1.Lewis Carroll のAlice’s Adventures in Wonderland 「不思議の国のアリス」と Through the Looking-Glass and What Alice Found There「鏡の国のアリス」を併せて「アリスの物語」といい、この「アリスの物語」についての考察を「アリス学」と呼びます。
  前書をAWと、後書をTLと略記することがあります。同じく、
  Alice’s Adventures under Ground  「地下の国のアリス」をAG
  The Nursery "Alice" 「子供部屋のアリス」をNAと略記することがあります。

2.18歳未満禁止というわけではありませんが、もし、あなたが18歳未満ならきっと退屈するでしょう。他のアリスのサイトを探されることをお勧めします。
 もし、あなたが18歳以上なら、「アリスの物語」を読んでおられるどうかによって、多少、楽しみが違いますが、余り気にせずお読みください。何もご存じなくても最小限のことはお伝えしながら進める積りです。
(一ヶ月に1章ぐらいのスピードで話を進めていきますから、未読の方は是非、キャロルの原作をお読みください)

3.参照文献はいちいち掲げません。
シェイクスピア学ほどではないにしろ、アリス学の文献も膨大で、私と同じことを誰かがどこかで書いておられるのだろうと思います。それを確かめていては、何も発言できませんので、学者でない特権を享受させていただきます。

基本参考文献は
Martin Gardner  The Annotated Alice
Derek Hudson  Lewis Carroll An illustrated biography

4.文中の訳文は特に断らない限り私が付けたものです。大きな誤りがあればお教えいただければ幸いです。

5.読者からのご感想・ご意見をお気軽にお寄せください。アリス・ファンが共有できる内容であれば、このサイトに掲載させていたきます。

6.内容は適宜、追加、削除いたします。目次の各章に最終更新日を表示いたします。

7.著作権は原著者に留保いたします。


【本サイト誕生秘話】

野口さんのメール(2003・2・22)

昨日、本屋で「2次元より平らな世界」という本を買ってきて、読んでいます。
 原著は Ian Stewart著 FLATTERLAND、 "Like Flatland, Only More So"という副題がついています。
まえがきによると、「1884年、ヴィクトリア朝のイギリスに、エドウィン・アボット・アボットという、中等学校の校長にしてシェイクスピア学者でもある人物がいて、Flatland(2次元世界)という一般向け科学書の名作をものした」そうです。この本はその続編という設定なのでFlatterlandとなる訳ですが、青木薫という人の訳がたいへんうまくて、言葉遊びやかけことばが頻発する(らしい)原文を、見事に日本語に置き換えています。そのうちに原著を入手して、原文と比較しながら読んでみようと思っています。原著は「不思議の国のアリス」も念頭にあるようで、「トポロジストのお茶会」という章では、三月ウナギや履き違い靴屋などというのが登場します。そういう点では、宮垣さんなども読まれたらおもしろいかな、と思いましたが、おすすめはしません。内容は、かなり高級な数学の世界のマンガチックな解説というものなので、数学のことがある程度わからないと面白みが理解できないかと思います。

野口さんの「意識と宇宙についてのチェシャ猫とアリスの対話」」原稿(2003・2・5)

322 猫:・・・ おもしろいリストができていますね。もう少し続けると「不思議の国のアリス」の続編の筋書きができそうです。いかがですか。「不思議の国より不思議な国のアリス」というような題でお書きになっては。それとも「悪夢の中のアリス」でしょうか。・・・

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