SIZE AND TEARS 1863 | 肥満の嘆き |
WHEN on the sandy shore I sit, I answer "If that ruffian Jones Ah me! I see him on the cliff! For every night, and everywhere, The girls (just like them!) all agree They vanish in tobacco smoke, "My growth is not YOUR business, Sir!" "It's hardly safe, though, talking here - |
潮風に寄せる白波 砂浜のなぎさに座り 僕はただ泣きじゃくる 髭さえも剃れぬ身の故に 小さな声が耳元で 何故恐れるのかと訳けを聴く 僕は答える「悪漢ジョーンズめが ここにいるのを見つけたならば 僕の名前を叫ぶだろう 耳障りな調子でな デブだと言って囃すだろう (そいつが僕には効くんだな) あぁ なんと! 崖の上に彼がいる 望みも失せた 絶望だ こちらにやって来るかも知れぬ 望遠鏡を持っているかも知れぬ どんな所へと逃れてみても 憎っくき敵は僕を追う 毎夜 どこかの晩餐会で 絶対いつも彼に会う いかす娘を見つけ出し 死ぬ程好きだと言ってる時に あの下司め 必ず間に割ってくる (彼はヤセだが僕はデブ) 乙女達 そろいも揃って言うことは J.ジョーンズ様は素敵だわ 僕はみなに聞いてみる 一体どこがいいのかね? みなが言う「彼はスリムで格好いい 見ているだけで満足だわ」 タバコの煙に彼女ら消えた 乙女はやはり幻か― 突如 鋭く突く者あり 僕の肩甲骨の間をば 「おや ブラウン ますますデブになったな」 (彼は僕を探し出すと言ったでしょ) 「僕の太るのは勝手でしょ」 「当たり前だよ ねぇ お前 君の勝手でいいんだけれど ねぇ ブラウン いいこと言って上げようか そんなにうまく太るならなら ひとかどの人物と言うべきだ おっと ここで話するの危いな 離れているのが一番だ お前のようなデブッチョがいれば この浜すぐに沈むはず」ー もう一度デブだと言ってみろ 覚悟しておれ どなり倒してやるからな |
一種のいじめのドラマが展開しています。いつの時代もいじめがあったのですね。惨めなテーマが詩になるのはバッラッドの伝統があるからでしょうか?日本人にはなじみの薄いものです。この詩の僕、ブラウンも、僕を悩ますイカス男、ジョーンズも、キャロルの影に一種であろうと思います。キャロルの願望を示しています。 高橋康也先生は「キャロルには、肉体をめぐって《デブ・ヤセ 》偏執観念があったらしい。」とされています。 ご興味のある方はそちらをどうぞ。 美人を口説こうとしているところに、割って入ってくるJ.ジョーンズのような男がキャロルの身近にいたような気がします。最後に主人公が能動に転じるところが面白いのですが、果たして、怒鳴り倒す機会が訪れたでしょうか。 「カレッジ・ライム」初出。「ミッシュマッシュ」の最終ページを飾っています。後の詩集にも再録されています。 目次へ 05・5・22 改7・30 |