Melodies (Limericks) 1845 | メロディー |
T There was an old farmer of Readall, Who made holes in his face with a needle, Then far deeper in Than to pierce through the skin, And yet strange to say he was made beadle. U There was an eccentric old draper, Who wore a hat made of brown paper. It went up to a point. Yet it looked out of joint. The cause of which he said was " vapour. " V There was a young man of Oporta, Who daily got shorter and shorter, The reason he said Was the hod on his head, Which was filled with the heaviest mortar. W His sister, Lucy O'Finner, Grew constantly thinner and thinner, The reason was plain, She slept out in rain, And was never allowed any dinner. X There was a young lady of station, " I love man " was her sole exclamation ; But when men cried, " You flatter. " She replied " Oh ! no matter, Isle of Man is the true explanation. " |
T むかし リードルの百姓老人 顔に穴あける大変人 皮膚だけでは済まなくなって どんどん穴を掘り下げて なんと成ったは教区の役人 U むかし 年寄り偏屈生地屋 茶紙の帽子でおめかしや まあまあの線を行っていた だがどこかちぐはぐだった 彼が言うにはもと(原因)は蒸気じゃ V むかし 若者 出はオポータ 日ごと縮んでしもうた 頭で運んだ重い樽 中身はなんとモルタル それがためさと彼は言うた W 彼の妹 ルーシー・オフィナ 痩せて体は針金みたいな 理由はこうだと明かされた 雨の中で寝かされた いつも言われた 飯を食うな X むかし 深窓のご令嬢 「マン(男)が好きよ」とひとこと言上 男達言った「おだてるのかい」 彼女は答えた「それは誤解 私のはマン島への愛情」 |
これはリメリックLimerickという戯れ歌です。この形式はa-a-b-b-aという脚韻を踏むほか、中身も「むかし**爺さん(ばあさん・・・)あったとさ」と歌いだされるのが普通です。それもどこか珍妙な味が無ければならない。狂歌、川柳は隠された意味が面白いのですが、リメリックは意味が無い面白さで英国特有のものです。 Nursery rhymeと軌を一にするところもあり、何かと浮世のしがらみに生きる者にとって、そのノンセンスさが、一陣の涼風のごとき作用を及ぼします。 これに目をつけたキャロルも13歳にしては早熟かもしれません。 この道の大家はエドワード・リヤ(A Book of Nonsense 1846)ですが、キャロルはリヤのような先輩が居なければ、あれだけ伸び伸びとノンセンス詩がかけなかったと思いますが、この詩はリヤとキャロルとの大切な結び目のように思います。 「不思議の国」9章の公爵夫人の教訓で、Take care of the sense and the sounds will take care of themslvesというのがありますが、私はこれに対して、リメリックはTake care of the sounds and the sense will take care of themsfと置き換えようなのがこの種の詩作多だと思います。つまり音さえ軌をつければ意味は勝手に付いて来るという訳です。 ですから、リメリックに限っては、無理しても押韻しなければ面白く無しと思います。 Vは私が底本しているThe Nonesuch版全集1977にはありませんが、面白いので、他から補いました。 |