HORRORS    1850   恐 怖

METHOUGHT I walked a dismal place
  Dim horrors all around;
The air was thick with many a face,
  And black as night the ground.

I saw a monster come with speed,
  Its face of grimmliest green,
On human beings used to feed,
  Most dreadful to be seen. -

I could not speak, I could not fly,
  I fell down in that place,
I saw the monster's horrid eye
  Come leering in my face !

Amidst my scarcely-stifled groans,
  Amidst my moanings deep,
I heard a voice, "Wake! Mr. Jones,
  You're screaming in your sleep!"

歩いてたのは不気味な所
  漠とした恐怖がたちこめ
あたりは無数の顔がひしめき
  地面は闇夜の黒さ

魔ものが駆けて来た
  ぞっとする緑のその顔
いつも人を食べている奴
  こんなに凄いのは初めてだ

声は出ず 逃げも出来ずに
  その場にへたり込んだ 
魔ものの忌まわしい目が
  私の顔をにーっと覗き込んだ

息も絶えんばかりに私は叫んだ
  腹の底から私は呻いた
その時声がした「起きなさい。ジョーンズさん
  悪夢に うなされてるんですよ」
1850年に始められた家族雑誌「牧師館の雨傘 The Rectory Umbrella」に掲載。同年5月、キャロルはオックスフォードに入学が認められ、翌年からオックスフォード、クライスト・チャーチへ入寮することになりますが、ラクビー校での忌まわしいいじめを夢に見たのでしょうか。悪夢から目覚め、それを詩に書くことによって、克服しようとしているようです。18歳のキャロルが大人にさしかかろうしている時期です。
この魔ものの正体は何でしょうか?シャバオッキーやスナークと形を変えて現れるようです。
「不思議の国のアリス」でお姉さんに「起きなさい。アリスちゃん!まあ、ほんとによく寝たこと」と言われるシーンに似なくもありません。
韻律、押韻整った詩であるが、日本語では恐怖の緊張感が出ないので韻を無視して訳した。

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