Mさん

水村美苗『日本語が亡びるとき』(筑摩書房)を読まれましたか?私はこの本に感銘を受けました。。
定年後、細々と日本語教師をしていることもあって、日本語論はよく読みますが、これは類書と違ったスケールの大きなものです。憂国の書といっても良いかもしれません。
内容は小説家の著者が、納得行く形で、論を展開していますので、その紹介はいたしません。
ネット上、書評も見ることが出来ます。
面白いところ、なるほどと思うところに付箋を貼って読み進めましたが、後で数えたら37箇所ありました。
ひとつの山場は「国語」というものがどう形成されたかという点にあり、著者の周到な手順を踏んでの説明は、さすが小説家らしいとものがあります。
雑誌「新潮」2009・1号には梅田望夫と著者の対談が出ています。これも大変面白いものです。梅田望夫はその中で「・・・実に感銘を受けました。漠然と思っていたことを、見事な分析で明晰に表現されていました。・・・」とありますが、確かにそうで、私にはそれ以上のものがありました。こちらの方も20ページの対談に10箇所付箋がつきました。
 同じ「新潮」に蓮實重彦の「文学の国籍をめぐってのはしたない議論のあれこれについて」という随想が掲載されていて、これも「国語」に関連しています。ちょっとハイブラウな文ですが、やがて水村の前掲書を取り上げるそうで楽しみです。

日本語論は言語学的アプローチも面白いですが、こんなマクロ的な見方も面白いものです。
英語教育にも一家言あります。
まだお読みになっておられないなら、ご一読をお勧めします。

宮垣弘

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2008・12・21