『「意識の宇宙」のアリス』

    野口三×宮垣弘
    (アーバンプロ出版センター刊)
    






アリスの名に惹かれてこの本を手にされたキャロル・ファンの方にちょっとした読み方のアドバイスをさせて頂きます。

「不思議の国」ではアリスが青虫に「お前は誰か?」と聞かれて困っている場面がありますが、本書ではその所を、97ページから取り上げています。ここから入るのがひとつの方法です。と言うのはこの本の元になった対話はネット上では「自分を探すアリス」というタイトルだったからです。本書はチェシャー猫(野口)の主張を中心にまとめられていますが、その考えのポイントは何かと言うと、この世はバーチャル・リアリティー「仮想現実」だということです。「鏡の国」で、トゥィドルディ―とトゥィドルダムにアリスは赤の王様の見ている夢に過ぎないといってからかわれていますが、その夢に近いのです。私たちはTV、映画、芝居、小説など、コスプレもそのうちにひとつなのですが、バーチャルな世界を楽しみながら生きていますが、私たちのこの世がバーチャルだと言われれば、反発します。アリスも反発しました。

一般に、時間と空間の中に、物質があり、物質から人間ができ、脳が生まれ、それが、意識を作りだしていると思っています。チェシャー猫は、それは逆だと言います。もっとも根源的なものは意識で、これが総てをつむぎ出していると言います。本当にそうなのか?

我々が絶対確実と思っている物質は存在しないのか?これを現代量子力学などの物理学の知見をふまえて話しているのが本書の前半です。(数式も出てこないのでそんなに難しくはありません)

ではこの意識とは何か?意識とは夢のようなもので、赤の王様が目を覚ませば、アリスも私たちも皆消えてしまうのか?後半はこの意識の追究です。夢のように消えないからご安心ください。仮想現実、夢という以上それを作り出しているもの、見るものがいるわけですね。それが「あなた」と言う訳です。神の分身として、何でも作り出せるとチェシャー猫は言うのですが、アリスはではどうして苦しみや不如意が起きるのだと尋ねます。

チシャー猫は思った通りのことが実現するとのだと言います。本当にそう思わないと駄目ですが・・・

Ishiki no Uchu no Alice Alice’s Consciousness, and What She Found There
By Kenzo Noguchi & Hiromu Miyagaki

The Japanese title: “Ishiki no Uchu no Alice literally means “Alice in the cosmos of consciousness”.

This book begins with the Cheshire-Cat’s (Noguchi’s) opinion that everything in this world is a virtual reality. This notion is the same as when Tweedledee suggests to Alice that she is only a sort of thing in the dream of the Red King.

Most of us believe that everything is in the cosmos of time and space, that human beings are made of materials, and that they have brains which produce their consciousness.

The Cheshire-Cat says “This notion is wrong. On the contrary, consciousness is fundamental. It creates everything including you.”

Alice asks “ Then, who am I? What should I reply to the Caterpillar’s question?”

The Cheshire-Cat gives her a suggestion. And so on.

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