アイルランドの細道

ダブリン6

1ヶ月の予定が40日となり、思わぬ長逗留になってしまった。今日1日は何もせず、アイルランド最後の日を送ろうと思った。本当に日本に帰れるのかの不安がぬぐえない。Eチケットで、切符を待たないための不安である。昔は必ずリコンファメーションをしたのだが、受付で何度も番号を選択しなければならないKLMに電話する気は起きず、明日空港に乗り込む以外に私としては選択肢がない。
昼ごろまで宿でテレビを見て過ごしたが、バス・センターへ行って、デリーまでのバスのコースの分かる時刻表を入手した後、ダブリンの見納めと街に出た。日曜日とあって、店の3分の2以上はしまっているが、観光客で結構賑わっていた。ヘンリー・ストリートの途中まで行って引き返した。どこかでダブリン最後のギネスを飲もうと思いながら歩いたが、結局、CELTに来てしまった。店はラクビーの中継をやっていた。この店は、その煤けた有様を含めて、典型的なアイリッシュ・パブだと思う。旅愁を慰めるのはふさわしい。今度の旅で私はギネスにどれだけ力づけられたか知れない。アイルランド人もそうらしく、ギネスの重要性は日本では想像も出来ないほど大きい。土産物の3の1もギネス関連商品と思われるくらいである。女性も好んでギネスの黒色のシャツを着ているように思え、小太りの人には良く似合っていた。
宿に帰って、隣接のHostelの部分を見せてもらったが、中の部屋までは気が引けて入れなかった。共用スペースで客がトランプをしていた。地図にバス路線を記入してみたり、テレビを見たりして時を過ごすが、なかなか時間が経たない。若田光一さんの帰還のニュースをテレビでやっていたが、この人の時間がどんな形で流れたことだろう。その精神的負担は想像を絶するほどきついものだと思う。特に帰還直前の気持ちはどんなであったろう。

6時過ぎ、宿の食堂でスパゲッティの夕食を取った。味はいま一つだが、静かなのが取り柄。帰国のためのパッキングをして、シャワーを浴びて横になったが、朝、寝過ごさないか不安であった。

(8月2日のこと)

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