アイルランドの細道


ダブリン4

疲れが出て来たのか、気持ちがすっきりせず、一日宿に篭もりたいたい気持ちだった。
それでも、10時には宿を出て、ヘンリー・ストリートへ向かった。ここにはいくつのもショッピングセンターがある。家に持ち帰りたいちょっとしたものを探すためである。それは陶器の人形なのであるが、これまで絶えず意識して探すのだが見つからない。店を知らないのだから行き当たりばったりで探すしかない。2時間くらいふらついた後やっと一軒それらしき店を探し当てて、綺麗な人形が陳列されていたので、聞いてみると英国製だと言い、別の候補を挙げるとそれは中国製だという。探すのをあきらめて、昨日出来なかったダブリン城を見に行くことにした。土地勘が出来ていて迷わず行け、30分待って12時40分からのグループに参加できた。
30人ぐらいのグループを女性のガイドが一部屋一部屋案内するのである。お城は13世紀に建てられ、1684年火事で崩壊し、現在のものは18世紀以降のものである。若い女性が声を張り上げ、いろいろ説明してくれるのだが私には分かるところが少なく、自分の聴解力の低さにがっかりした。最後は城の基底部へ降りて行って、城壁の造りなどを見学する。やはり見るに値した。
最後にレストランと土産物店を通るが、ここに私の求めるものに近い、陶器の人形と皿があったので買った。皿にはフルッフの宿の女将の書いてくれた格言が書いてある。ここのレストランでサンドイッチとワインの昼食を取った。もう、今日はこれから宿に帰ってもいいのだが、もう一度図書館へ向かっていた。図書館そのものを見学したかったからである。
表玄関は外装を補修中で見えないのであるが、古い歴史を持つようで、今の建物は1890年のものである。閲覧室に入る前に手荷物を預けなければならない。これは日本の国会図書館や都立中央図書館と同じである。そのロッカーの数から、小規模のものであることが伺われた。小規模ではあるが、その閲覧室に入ると、アッと驚く。円形の部屋の壁面には本が並んでおり、高いドーム型の天井の下に、時代を経た木製の机がずらりと並んでいる。入りは3分1くらいで、何人かはパソコンを使っている。壁際に検索用端末が数台並んでいて、機能的には現代の水準を持っているようである。小ぶりであるが味のある図書館で、こんな雰囲気こそ読書にふさわしい。喫茶室、売店が付いている。その一角に展示室があって、「イエイツ展」をやっているのである。
それをもう一度見ることにした。イエイツの詩を朗読しているテレビのコーナーがあって、それを聞きながら休んだ。展示のレベルが非常に高く、都立図書館でよくやっている展示に比べ、見事と言うほかない。

帰って横になって少し休んで、CELTへ夕食を取りに行った。一膳飯屋の雰囲気もある、庶民的な店であるが相変わらす客が多い。小さなテーブルを見つけてギネスとスモークド・サーモンを頼んだ。これにはずっしりと重い褐色のパンが2枚付き、サーモンは日本の倍はある。店内はアイルランドの元気な民謡を流していて気分がよかった。大半は観光客なのかもしれない。とにかくタブリンは観光客で一杯だが、東洋人の観光客はほとんどいないのは不思議である。
(7月31日のこと)

続く 目次へ