アリス、アリスに会う  224−229
224  : <自分の意識とは独立した因果法則>というのは、物理学の法則のようなものですね。それはアリスさんの意識の中の「自分の意識だと思っていない部分」――つまり潜在意識――の中にあります。

たぶんアリスさんはこの答えを受け入れられないでしょう。それは、アリスさんが「自分の意識」だと考えているものが、本当のアリスさんの意識にくらべてあまりにも小さいからです。

では、本当のアリスさんの意識はどんなものなのでしょうか。それは宇宙全体を見ればわかります。それが全部アリスさんの意識なのです。最小の素粒子から最大の宇宙の果てまで、全部がアリスさんの意識の投影なのです。

宇宙が物理の法則にしたがっているというのも、科学者が物理法則を探求しているというのも、アリスさんの意識が作り出している物語です。私がこのようなことを書いたメールをアリスさんに送っているというのも、アリスさんの意識が作り出している物語なのです。

「無駄な抵抗はやめよ!」と言う言葉は、昔よく聞きましたね。アリスさん、そろそろ諦めてください。アリスさんが体験しているもので、アリスさんの意識でないものは何一つありません。ただ、その中に、アリスさんが「自分の意識ではない」と思っているものがたくさんあるというだけのことです。

225 アリス<アリスさんの意識でないものは何一つありません。>これは前提です。@の前提で話を進めているのですから。この意識をコントロールできるか、つまり、今は、夢の中で、いい夢を見る方法を議論しています。『不思議の国のアリス』では次々とアリスの意志とは無関係に出来事が起きますが、青虫に、体を大きくしたり小さくする方法を習い、自分をコントロールできるようになりました。茸を齧れば体の大きさが変わるという法則が分かったためです。
科学者達も自分の意識とは独立した法則があるから、逆にこれによって、電気をおこしたり、病気を治したり、・・・など出来ると思っているのですが、「自分がコントロールできない因果律がある」と思っているのは、
<「自分の意識だと思っていない部分」――つまり潜在意識――の中にあります。>ですね。科学者にとっては顕在意識のはずですが、名称は潜在・顕在の議論はしばらくおきます。猫さんは、因果律も意識だから、意識を変えれば死人を生き返らせたり、木から落ちるリンゴを途中で止めたり出来るとお考えなのでしょうか?ーーーと私の意識の中の猫さんに問いかけます。

226  : <因果律も意識だから、意識を変えれば死人を生き返らせたり、木から落ちるリンゴを途中で止めたり出来るとお考えなのでしょうか?>

そのとおりです!


ただし、ふつうの人がそこまで出来るようになるのはかなり難しいでしょう。このようなことが出来るようになるためには、相当「深いレベルの意識」を変えなければならないからです。

アリスさんはコンピュータになじんでおられるので、そこからたとえ話を引き出しましょう。

コンピュータにはOSと呼ばれる基本ソフトがあり、その上にアプリケーションのソフトが乗って動いています。通常の私たちの意識レベルにおける生活は、アプリケーションソフトを利用しているようなものだと言えます。したがってそれは、アプリケーションソフトのルールによって動いています。「意識を変えれば世界が変わる」と言う場合も、ふつうは、このアプリケーションソフトを変更すれば、いままでと違うことをやらせることが出来る、という場合に相当しています。

けれども、アプリケーションソフトを触っているだけでは、OSが対応していない機能は利用できません。例えば、OSが無線LANに対応していなかったら、いくらアプリケーションソフトで無線通信をしようと思っても出来ません。無線LANが出来るようにするためには、OSのレベルに修正を加えなければなりません。そして、そのようなことが出来るためには、通常のアプリケーションソフトのエンジニアより、はるかに高度の知識と技術を持っていなければなりません。

意識を変えることによって物理法則を変更する、あるいは超越するというような場合は、OSを修正することに相当すると言えます。つまり、宇宙の中に絶対に不可能に見えるようなことが存在するのは、私たちがすべてのレベルの意識を自由にコントロールできる状態にないからです。けれども、OSがソフトの一部であるように、最も深いレベルの意識も私たちの意識であることには変わりありません。

227 アリス OSの喩えは私には大変分かり良いです。猫さんのお考えは、意識=ソウトウエアとすれば、最後にハードウエアの存在がなくなってしまうので、この喩えで最後までいけるのか問題がありますが、当面、ソウトウエアの喩えで話を進めたいと思います。
今、私達はこのソウトウエアを動かすことによって、福を導くにはどうしたらよいのか、考えているのですが、OSのところを動かすのはかなり難しそうですので、アプリケーションのソフトのレベルにしたいと思います。
となると、逆に、我々のOSがどんなものであるか、最小限のことを抑えておかなければなりません。
私流に人間のOSの特徴を掲げておきますので、猫さんのご意見をお聞かせください。
  A ;好奇心を持つ。今、NHKのBS放送の番組紹介に「見たい、聴きたい、感じたい」という決まり文句を繰り返していますが、これらの欲望を指します。。
  B ;その好奇心は自分(我)が持っている。
  C ;その自分を出来るだけ存続させたい。
  D ;自分を含めて因果律が働いている。
  E ;因果律には矛盾は存在しない。
  F ;欲望が満たされた時、または満たされつつある時、幸せを感じる。
  G ;自分は幸せを増やしたい。
  H ;自分以外の世界が存在する
最小限このくらいの性質を持つOSが私に働いていると考えます。これを前提の幸福論を当面の話題にしたいと思います。

228  : OSというレベルの認識が少しかみ合っていないように感じますので、ちょっと質問をします。それは、アリスさんが「自分」という言葉で何を意味しておられるのかということです。

<その好奇心は自分(我)が持っている>といわれるとき、その「自分」はどの範囲をさしていますか。それは現在生きている一つの肉体を指していますか? つまり「自分」というのは肉体の死とともになくなりますか?それとも、何回も転生しながら永遠に生き続ける魂を指していますか?それとももっと別のものを指していますか?

229 アリスここで「自分」といっているのは、AからHまでのことを感じている主体のことを意味します。どこまでをOSとするかは相対的なものですが、この程度のことを前提として、しばらく話を続けたいということです。つまり、「死人を生き返らせたり、木から落ちるリンゴを途中で止めたり出来」なくても良い。
<それは現在生きている一つの肉体を指していますか?>これは現段階では「現在生きている一つの肉体を持っているという意識がありますか?」とすべきではないかと思いますが、どちらでもかまいません。(少なくともOSの中には含めません)
<何回も転生しながら永遠に生き続ける魂を指していますか?>これは分かりません。少なくとも「C ;その自分を出来るだけ存続させたい」と考えているという程度にとどめます。

08/1/5


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