クルーグマンコラム 朝日新聞 2011年9月15日 (NYタイムズ9月12日) | |||
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【見出し】 EBSの役割 スペインと伊の国債を買え 原文: An Impeccable Disaster Moralizing the euro over the edge ○ 原文は訳しにくかったのであろう。日本文では、クルーグマンの言いたい結論を直接書いている ○ impeccable は副詞の impeccablyを含めて本文に4回で出てくるが「完璧」と訳されている。impeccableはラテン語から来ていて、もともとは罪のないとういう意味である。From Latin impeccabilis (“not liable to sin”) < im- (“not”) + peccare (“to err, to sin”). 完璧という意味にもなるが、クルーグマンの言いたいのはそうではない。 ○ 道徳的な意味で誤りがないとEBSが言っていることが災難(disaster)なのである。 ○ この道徳的というのは借金は駄目、借金をしている国を助けるのも駄目、財政健全化を一種の道徳的心情としていることを意味していてる。 ○ これを主張することが moralizingで、主張する人をmoralizerと呼ひ、2回出てくるが、日本文では「道徳主義者」と訳されている。 moralistでも道徳的な人でもない。「道徳を説く人」のこと。少し軽蔑的な意味を持つ言葉である。 ○ over the edgeはある限界を超えていること、気が狂っているとも取れる、。 ○ つまり、ユーローを道徳の対象とするのは気が狂っていると言いたいのである。 ○ 文中ーー信用不安は「悪循環」となるのだ」ーーとあるが、原文はthe crisis of confidence becomes a self-fufilling prophecyで直訳すれば、自己実現的予言となる。これは、Robert King Merton の有名な造語で、深い意味を持つ。クルーグマンの発言には、心理学を含む深い洞察がある。 |