続・シェイクスピアに一票を!
 
前回ご紹介したBBCのGREAT BRITONSは、非常に面白い展開になってきました。
 
この1週間にCromwellとNelsonの番組が放映されたので、視聴者には2回投票のチャンスがありました。番組放送前はCromwellもNelsonも下位(9位と10位)にランクされていたのに、放送後はそれぞれ6位まで浮上しました。
 
ここで興味深いのは、この2回の投票で一番たくさんの票を獲得したのがCromwellでもNelsonでもなく、Dianaに次いで2位を占めていたBrunelであったことです。
 
GREAT BRITONS企画の狙いは、人々に英国の歴史をより良く知ってもらうこと、そして誰が一番かを選ぶにあたって、みんなで大いに議論してもらうところにあります。GREAT BRITONSウエブサイトのMessage Boardをのぞくと、実際にどんな議論が行われているかを知ることができます。
 
「DarwinやNewtonが上位にこないのは、この国の理科教育がじゅうぶんでないからだ」とか「学校では歴史をちゃんと教えているのだろうか。歴史上の人物をちゃんと知らないから、こんな結果になるのだ」とか、様々な意見や感想が記されています。
 
意見の中で一番多いのは、「Dianaがトップ10に入っていること自体間違っている。ましてや第1位なんて…」というものです。「Dianaの1位を阻止するのは我々の義務である。さもないと英国人は世界中の笑いものになってしまう」という強硬なものもあれば「ABD Clubに入りましょう。これは、個人的には○○(自分が一番だと思う人の名前を入れてください)が優勝するのが理想だけれど、妥協してもいいから??だけは優勝させたくないという人のクラブです」という婉曲なものもあります。ABDは、ANYONE BUT Diana (Diana以外だったら誰でも)と思われます。
 
このいわゆるABD Clubの人々が、2回の投票で戦略的にBrunelに投票したのでしょう。そのかい(?)あってか、Nelsonの放映後、1位と2位が逆転しました。
 
逆転直後からウエブサイトのMessage Boardには「これでDianaの事を気にせず自分が一番だと思う人に投票できる」とか「やっとまともな投票ができる」といった声が寄せられています。
 
さて、次の番組はいよいよShakespeareの紹介です。英国の実力派女優Fiona Shawが進行役をつとめることになっています。前回2つの番組でCromwellもNelsonも順位を上げましたが、5位のShakespeareを上回ることはできませんでした。金曜日(英国時間11月8日午後9時より)の投票が今から楽しみです。
 
Message Boardに、なるほどと思わせるShakespeareの応援メッセージがあったので、要点だけ簡単に紹介させていただきます。
 
「英国が世界に与えた影響のうち最もすばらしい業績といえるのは、『英語』という言葉である。この言葉は英国で何世代にも渡って受け継がれ、国民一人一人がそれを話すことによってその創生と継承に関わってきた。『英語』を語るとき、誰もが認め、敬意を払うのがShakespeareの存在である。『英語』を学ぶ時、Shakespeareを避けて通ることは不可能である。本の中だけではない。私達が日常口にする言葉の中にも、Shakespeareのフレーズが生きている。Shakespeareは、『英語』の定義付けを行ったわけではないが、彼の存在はそれよりはるかに大きく、『英語』を象徴する存在である。彼こそthe great Britonだ。なぜなら彼は、英国人一人一人を代表し、象徴する存在であるからだ。」
 
皆さんもwww.bbc.co.uk/greatbritonsにアクセスして、一票を投じてみませんか。

02・11・08