ベッカムシェイクスピア
 
ワールドカップで活躍し、日本でもすっかり有名になったイングランドのキャプテン、デービッド・ベッカムに二人目の息子が生まれました。ROMEO君と名付けられたことから、シェイクスピアの『ロミオとジュリエッ』トに関係があるのかと話題になっています。
 
シェイクスピアとベッカム、意外な取り合わせですが、先頃Oxford University Pressが実施した面接調査で、興味ある結果が報告されています。英国の12歳の少年少女500人を対象に、スペリング能力にどんな傾向があるかを調べたものです。
 
10人中8人が“Beckham”を正しく書けるのに、“Shakespeare”は3人に1人が間違っていたそうです。学校教育より、テレビを中心としたタブロイド文化のほうが子どもたちに大きな影響を与えていることに、教育関係者は改めて危惧を表明しています。
 
日本でも若い世代の漢字書取能力低下が問題となっていますが、こちらでも状況は同じようです。
 
おもしろいのは、「子どもたちは興味さえ持てば難しいスペリングも覚える」として次のような例を挙げている点です。
 
ワールドカップ直前のシーズンにベッカムは足を骨折し、自分のチームの試合に出場できない状態が続きました。イングランド中の人々が、ワールドカップまでに彼の足が回復するかどうか気をもんだものです。その時折れた骨は「中足骨(metatarsal)」といって,普段の生活では使うことのない単語ですが、調査対象生徒の何と15パーセントが、これを正しく綴れたというのです。
 
これはタブロイド文化の影響を認めるようなもので、学校関係者としては複雑なところでしょうが、その影響を避けて通れないなら、うまく利用するしかないのではと思います。
 
ベッカムはROMEOの由来を報道陣に尋ねられ、「僕も彼女(奥さんのビクトリア)も好きな名前だから」とだけ語ったそうですが、いっそのこと(嘘でも)「僕も彼女もシェイクスピアが好きだから」と言ってくれたら、子どもたちのシェイクスピアへの関心が高まったことでしょう。
 
ちなみに、日本でも人気のハリーポッターにでてくる魔法学校“Hogwarts”は85%が正解。これに対して「国会」の“parliament”は正答率28%でした。“Shakespeare”は27通りもの綴りが登場したそうで、子どもたちにとってはやっかいな存在のようです。

02・09・12