花いっぱいのシェイクスピア生誕祭
4月23日は、英国で最も有名な劇作家、ウイリアム・シェイクスピアの誕生日といわれています。1564年4月26日、教会で新生児に授ける洗礼を受けた記録があるため、誕生はおそらく23日頃であっただろうと推測されているのです。ちなみに死去したのも4月23日(1616年)です。
そこでシェイクスピアの故郷であるストラットフォード・アポン・エイボンでは、毎年4月23日に近い土曜に、シェイクスピア生誕祭が行われます。
今年の生誕祭は4月20日。今まで生誕祭に出かけたことはなかったのですが、今回はちょっと早起きして、ロンドンからストラットフォードに足を伸ばしてみました。
この4月は例年になく好天が続き、これが英国の天気かしらと首を傾げるほど気持ちの良い晴天に恵まれています。当日もストラットフォードへ続く高速道路はドライブに最適のコンディション。車窓からは、見渡す限りなだらかな緑の丘陵が続きます。所々に黄色の絨毯をひろげたような菜の花畑が広がっていました。
生誕祭のハイライトは、世界各地からの招待客によるパレードと旗のお披露目です。
コベントリーの主教が生誕祭の主催者となり、シェイクスピアの魅力を伝えるのに功績のあった人々を各地から招いて、まずタウンホールでレセプションを行います。ゲストの数は百人ほどでしょうか。レセプションの後、ゲストの一群に軍楽隊、地元の小中学生、シェイクスピア時代の衣装を付けた役者、シェイクスピア時代のダンスを披露するグループなどが加わり、街の目抜き通りをパレードします。
通りには10メートルおきぐらいにポールが立っており、旗が閉じた状態で用意されています。パレードの一団が街の中心に到着すると、軍楽隊のドラムとファンファーレの合図で、この旗が一斉に開かれます。旗には2種類あり、1種類はシェイクスピアに縁のある国々の国旗や紋章のついた旗、もう1種類は黄色い大型の旗で、中央にシェイクスピアの顔、その下に彼の作品名が一つずつ記されています。
旗のお披露目の後は軍楽隊が国歌を演奏。この国民的英雄に敬意を表します。この後パレードの一団は、シェイクスピアが葬られているホーリートリニティー教会に向かいます。
パレードで印象的なのは、みんなが色とりどりの春の花を手にしていることです。花束もあれば、バスケットに入れたアレンジメントもあります。明るい日射しに映えて、どの花も輝いて見えました。この花がすべて、教会にあるシェイクスピアの墓を飾ることになります。作品中に色々な種類の花を登場させたシェイクスピアはきっと、この溢れるような花のプレゼントを喜んでいることでしょう。
春先の寒いうちから元気に咲き出すPrimrose(サクラソウ/プリムラ)は、英国の春のシーンに欠かせない花です。シェイクスピアの作品にもこの花が登場するのを思い出しました。
Primrose,
first-born child of Ver,
Merry
spring-time’s harbinger.
-Two
Noble Kinsman I. song
春の訪れを告げる、花いっぱいのシェイクスピア生誕祭でした。
02・04・25