BBC新チャンネル誕生

BBC(英国国営放送)ではデジタル放送の推進に力を入れており、この3月2日より、BBC FOURという新しいチャンネルをスタートさせました。これによって、BBCという名が付くチャンネルは、従来からあるアナログ放送のBBC1とBBC2、デジタル放送のBBC NEWS 24、BBC PARLIAMENT、BBC CHOICEの6チャンネルとなりました。

BBC NEWS 24は、24時間休みなく放送するニュース番組です。15分ごとに最新の主要ニュースを届けてくれます。最近ではINTERACTIVE(双方向)放送が導入され、通常の放送と平行して「主要ニュース」「スポーツニュース」「天気予報」「その他」の4つのメニューから、自分で見たいものを選択することが可能になりました。

BBC PARLIAMENTは英国の国会中継です。日本の国会でも導入されたPRIME MINISTERS QUESTION TIMEは、質問する側もされる側も真剣勝負で、特に見応えがあります。

BBC CHOICEは毎晩午後7時スタートで、デジタル情報、芸能情報などを放送しています。

BBC FOURも午後7時スタートです。新チャンネルのコンセプトは次のように説明されています。

「世界でも指折りの文化センターが自分の家からすぐのところにでき、いつでも好きなときにいけると想像してみてください。

ドキュメンタリー、音楽、演劇、映画など、現代最高レベルの芸術を鑑賞するため、毎晩そこに立ち寄ることができるのです。新聞などのレビューを読んで、あなたが前から見たいと思っていたパフォーマンスがご覧になれます。しかもそれは独自の編集により、感動を呼ぶプロダクションとなっています。」

番組の内容は、画家に焦点をあてた美術ドキュメンタリー、INTERACTIVE(双方向)放送を利用して選んだ絵が鑑賞できるテレビ上の展覧会、演劇、オペラ、名作映画、作家をゲストに一般読者が質問をぶつける番組、グローバルな視点で国際ニュースをとらえる番組など、知的好奇心を刺激するものが揃っています。

放送開始の目玉の一つが、昨年日本でも上演されて話題になった、ピーター・ブルックの「ハムレットの悲劇」でした。彼が本拠地としているパリの劇場で上演されたものを映像化しているのですが、彼自身が撮影にも関わり、俳優(特にハムレット)のクローズアップを多用して、普通の劇場中継とは異なる、緊張感のある映像となっています。

この映像作成には、BBCの他にフランスの放送局と日本のNHKが協力しています。ということは日本でも近々放映されるのではないでしょうか。私は劇場での上演を見逃していたので、楽しみにしていましたが、期待通り新しいハムレット像を見ることができました。

うれしいことにこの「ハムレットの悲劇」には、おまけが2つもついていました。

1つ目はピーター・ブルックと、ナショナル・シアターの芸術監督を務めたことのあるリチャード・エアーの対談です。この中でブルックは、今回のハムレット演出の狙いや、シェイクスピアの「ハムレット」そのままではなく順序を入れ替えて上演した理由などを語っており、非常に興味深く思いました。

2つ目はPLAYING THE DANEというミニ番組。「ハムレット」は英語で書かれているけれど主人公はデンマーク人(The Dane)であり、有名なお芝居であるだけに、それを演じるには色々な苦労があることを様々な俳優に語らせています。過去の有名俳優によるハムレットも、モノクロの映像で紹介しています。

BBC FOURは、マスメディアというテレビ放送のメーンストリームを目指すものではないようです。様々な興味や知的好奇心を持つ人々が、BBC FOURから何かを見つけ、人生を豊かにしてくれることを願って、番組が作られています。視聴率優先のテレビ番組に飽きた人々には、BBC FOURは実に楽しみな新チャンネルです。

02.03.15