W杯、イングランドの応援はセント・ジョージス・クロスで!

日韓で開催されるサッカーのワールドカップ(W杯)がいよいよ近づいてきました。英国(UK)からもイングランドチームが出場します。「英国から」といったのは、イングランドと英国はイコールではないからです。英国はUnited Kingdom、直訳すれば連合王国をさします。この中に、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4国があります。4国の中で一番面積が広いのがイングランドで、グレートブリテン島南部の大半を占めています。ロンドンがあるのも、イングランドです。

オリンピックの場合は英国として参加するのに、ワールドカップは4国が別々に参加します。予選ではスコットランドも健闘したのですが、あと一歩及ばず、本戦出場はイングランドだけとなりました。ちなみに英国では、「サッカー」より「フットボール」という呼び方のほうが一般的です。

英国の国旗はユニオン・ジャックですが、これは連合王国のしるしであり、イングランドのセント・ジョージス・クロス(聖ジョージの十字)、スコットランドのセント・アンドリュース・クロス(聖アンドリューの十字)、アイルランドのセント・パトリックス・クロス(聖パトリックの十字)を組み合わせたものです。これに対してイングランドの国旗セント・ジョージス・クロスは、白地に赤の十字です。

イングランドチームの試合応援にはセント・ジョージス・クロスが欠かせません。顔を真っ白に塗り、その上に赤で十字をかいている人もいます。今回のワールドカップでは、優勝候補アルゼンチンとの対決(6月7日・札幌)を含め好試合が期待されているので、日本でもセント・ジョージス・クロスがお馴染みになりそうです。

さて400年前のロンドンも、セント・ジョージス・クロスで盛り上がっている場所がありました。フットボールスタジアムではなく、グローブ座という劇場です。出し物は、イングランド軍とフランス軍の戦いを描いたシェイクスピアの「ヘンリー五世」。ヘンリー五世率いるイングランド軍がフランスに攻め込み、戦力的には劣勢であるにも関わらず、ヘンリーの勇気と情熱がイングランド軍を勝利に導いてゆくという、愛国心あふれる物語です。

英国の名優ローレンス・オリビエはこの「ヘンリー五世」を、400年前の劇場の雰囲気と観客の熱狂を生かしながら、巧みに映画化しています(1944年作品、オリビエはアカデミー賞受賞)。映画の最初は当時の劇場中継という形なのですが、途中から観客の想像力の翼を借りて、舞台はフランスの平原に移ります。白馬にまたがったヘンリーが、セント・ジョージス・クロスを高く掲げ、まさに出陣していこうとする兵士達に檄を飛ばします。この映画のハイライトシーンです。

Cry - God for Harry ! England and Saint George !

「鬨の声をあげよ。 ハリー(ヘンリーの愛称)に神のご加護を。イングランドとセントジョージに神のご加護を。」

ワールドカップのイングランド応援団は、セント・ジョージス・クロスを掲げてきっとこんな風に応援することでしょう。

Cry God for Beckham ! England and Saint George !

Beckham(ベッカム)はイングランドチームのキャプテンです】

02・01・31