これは鎌田正先生の書である。
1991年(平成3年)から1992年にかけて、湯島の聖堂の「斯文会」で、一年間、鎌田正先生の「論語講読」に参加して、最後に頂いた色紙である。
時に先生80歳、参加者12名中7名が70歳を越していたので、先生はこの章句を選ばれたのかもしれない。
「歳寒くして、然る後に、松柏の凋むに後れるを知る」(子罕第九)  歳寒には晩年という意味はないが、私はこれを晩年と解して、戒めとしている。何時までも青々としていたい。

鎌田先生は紹介するまでもなく、諸橋轍次先生の高弟、「大漢和辞典」をはじめ、数々の辞書の編著と春秋左氏伝の最高権威者。私は先生の本(明治書院4巻)のおかげで左氏伝を読み上げることが出来た。
内親王(敬宮愛子様)御命名に関与されたことは「しにか」(2002年2月号)に先生自ら書いておられ、そのいわれを読むと心を打たれる。先生は2008年97歳でご逝去。

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