不思議の国より不思議な国のアリス
より平らかな世界 読者からのお便り(2)


  このコーナは読者からの著者宛のお便りのなかで、アリス・ファンが共有したい内容のものをご本人のご了解を得て抄録するものです。「アリスの系譜」の兄妹版です。 (新しいのが手前にあります)  お便りをお待ちします。 メール

No.4 野口慊三さんからお便り


03/4/20著者から野口さんへ
エンデとキャロルの差を考える上で、参考になることを「ただ笑え!ただ唄え!―アリス学超入門」に書いておきましたので、ご覧ください。

03/6/18 著者から野口さんへ
「スナーク狩り」は私はちくま文庫・高橋康也・沢崎順之助訳「ルイス・キャロル詩集」で読みました。この本は良い本です。原典対照版。他にもたくさん邦訳があり、インターネット上でも読めます。「はてしない物語」は英訳本を持っています。モモはドイツ語版を持っていますがいずれもまだ読んでいません。子供向けのいい本多いので、大人の本が要らないくらいです。

03/4/16   野口さんから著者へ
私はキャロルの「スナーク狩り」というのはまったく知りません。日本語に訳されているのでしょうか。モモを思い出したついでに、エンデの本をもう一冊図書館から借りてきて読みました。映画にもなりましたが、 Die Unendliche Geschichte 、日本語では「はてしない物語」と訳されています。映画は見ていませんので、なんともいえませんが、これを映画にするのは相当難しいだろうなと思いました。モモの本の後ろにのっていた「物語の呼びかけにこたえて、本の中に入りこんだバスチアン少年は、滅亡寸前の国を救う」という宣伝文句に引かれて読み始めたのですが、ファンタージエンというおとぎの国の中に虚無が増殖して国が滅亡しかけている、その理由が人間がファンタジーを信じなくなったせいだ、という設定が、なるほどという感じでした。 キャロルの「アリス」と、ヨースタイン・ゴルデルの「ソフィーの世界」とのちょうど中間に位置するようなファンタジーの系譜を感じました。これと同じようなとこ ろに位置するのが、C.S.ルイスの「ナルニア国物語}でしょうか。そして、いま、私が本を書いたり、ホームページを作ったりして伝えようとしているのは、私たちの生きている現実そのものが、実はファンタジーの世界、ファンター ジエンそのものなのだということです。バスチアン少年が人間の世界に戻ってきたように、私たちは霊の世界に戻らなければならない、というのが私の究極のテーマなのです。

03/6/18 著者から野口さんへ
エンデの「モモ」は15年くらい前に読んであらかた忘れてしまいました、野口さんのご指摘でまた読んでみる気になりました。エンデはキャロルの「スナーク狩り」の基にした戯曲を書いておりますので、キャロルをかなり意識していたのではないかと思います。この本は未読なので近く読んでみたいと思います。なお「不思議の国より不思議な国のアリス」はこの「スナーク狩り」が最後の1行が出来てから出来た故事にちなんで、最後から書き始めたのです。

03/4/16   野口さんから著者へ
それから、ミヒャエル・エンデの「モモ」のことですが、あの物語の中で、主人公のモモがマイスター・ホラという時間博士のところを訪ねるときに、ゆっくり歩くほど速く進める道や、後ろ向きに歩かないと前に進めない「さかさま小路」などという場所が出てきます。鏡の国を読みながらそのことを思い出していました。エンデがキャロルを意識して書いたのかも知れませんね。

03/4/16   野口さんから著者へ
仰るとおり、鏡の国も不思議の国も、翻訳で読むのは無理のようですね、それにしても、どちらもずいぶんたくさんの言語に翻訳されているようですが。原文も買ってありますが、こちらも言葉遊びを味わうまでにはなかなか行きません。ボツボツ読んでいきます。

先日Flatterlandのなかに三月ウナギというのが出てくるという話をしました。こんなものをどうやって翻訳するのかと思って、Flatterlandの原書を買って比較してみました。すでにご存知かと思いますが、ご参考までに書いておきます。
           
Wonderland:            March Hare                   Mad Hatter
Flatterland:             Harsh Mare                   Mud Hutter

不思議の国:    三月うさぎ        気違い帽子屋
より平らな世界:  三月ウナギ       履き違い靴屋
翻訳者もずいぶん思い切ったことをするものですね。その点は、鏡の国の訳者(高山宏氏)も、ずいぶん凝った訳をしているようです。

03/6/15 著者から野口さんへ
鏡の国のアリス」を読まれた由、嬉しい限りです。「不思議の国のアリス」もそうですが、もし、翻訳で読まれて面白いと思われる方がおられると私は不思議に思います。その理由はいずれ、アリス学序説に書く積りです。一口に言いますと、翻訳では面白さは50%減り、原文で読んでもnonsenseが分らなければ楽しめないと思います。子供の頃の歌が頭に入っていないと、英語が出来ても本当は笑えない、といった性質のものです。ただ、女性は異界に入る楽しみと感じるようで考えさせられます。
やさしい英語なので是非原文で読んで欲しいと思っています。たかが子供の読み物です。エンデのモモとはちょっと質が違います。同じ時間を扱っていますが・・・

03/4/15  野口慊三さんから著者へ
「鏡の国のアリス」を図書館から借りてきて読みました。日本の田園風景のような碁盤目に区切られた挿絵が印象的でしたが、さらっと読んだだけでは、チェスの盤面を世界に見立てたということ以外には何も残らない不思議な物語でした。じっくりと、
裏に隠された意味を探りながら読まないといけないのでしょうね。
はじめの方で、アリスが言葉をしゃべる花の庭に入って行くときに、後ろ向きに進まないと行きたいところに行けない場面が出てきますね。ミヒャエル・エンデの「モモ」を思い出しました。

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