はじめに

これは、Erikaさんが、論語を読んでいく過程で残す記録である。
エリカさんはアメリカ生まれアメリカ育ちの若い女性で、約10年ほど日本語を学び、日本語の読書力は大学卒に近い、読書量は通常の大学卒の人をはるかに上回っており、今は翻訳を仕事としている。
日本の書物を深く読むには、中国の古典を読まなければ、真の理解をし得られないとの余間の勧めで、週1回1時間、一緒に論語を読むことになった。

進め方
1.エリカさんが予習してきた所に従い論語を素読
      テキスト;和本 「論語 朱熹集注」 後藤点
      参考書:金谷治『論語』岩波文庫
           吉川幸次郎『論語』朝日選書
           その他
2.余間と再読
3.エリカさんが自分の理解した意味、内容を話し、疑問点があれば出す。
4.余間がそれに意味を補足したり、参考になるコメントを言う。
     上記3,4は日本語で行われる。
5.エリカさんは理解したこと、感想などを英語で簡単な記録を残す。
6.余間がコメントを付けてフィードバックする。
  なお、エリカさんは、論語註釈ではトップレベルの、吉川幸次郎の『論語』をよく読んだ上で、会読に臨む。吉川幸次郎本は古注、新注、徂徠、仁斎の説を巧みに紹介してあるので、それを上回ることを言うことは不可能であるし、余間は朱熹註を中心、各種の註釈本を読んで臨むが、諸説を並べても余り意味が無いので、私の中に身についた東洋的な思想、考え方を伝えることに重点を置いている。

記録の意味
  エリカさんの理解をより確かなものにするために、母国語で記録を残してもらうことにした。
日本語にしなかった理由は、エリカさんの日本語の現在のレベルの中で、読み、聞き、話す点にはほとんど問題はないが、書くとなるとかなりの負担となると思うし、母国語で自由に書いたほうが、エリカさんの理解の内容を表現しやすく、長続きすると思ったからである。それにより、余間はさらにまた、新たなコメントを提供でき、エリカさん、余間ともども、さらに理解を深めようとするためである。このホームページに示すのはその内容(進め方 4,5の部分)である。

この記録を読まれる方へ
  中国や日本の古典の英訳を読むのは面白いものである。エリカさんの記録は『論語』の翻訳ではないが、それに近い悦びを読者に与えるのではないかと思う。吉川幸次郎『論語』を併読されるとエリカさんの発言が一層興味深いものとなる。(以上 宮垣 余間記)