アリス、アリスに会う  116ー122

116 猫 : <ちょっと危惧していた通りになりました。対話が通じにくくなっているのが顕在化してきたように思います。>

 私は、アリスさんが「不如意解消の問題をお前はどう考えるか」とおっしゃったので、私の考えを説明していますが、アリスさんの考えと私の考えが一致する必要は感じていません。それぞれが独自の考えを持っているのが当然だと思うからです。

 ただ「お前の考えはわかったが、それには賛同できない」と言われるのと、「お前の考えは理解できない」と言われるのは違います。「お前の考えはわかったが、それには賛同できない」と言われたら、私の説明は終わりです。けれども、「お前の考えは理解できない」といわれたら、また何か説明のしかたを工夫しようと思います。いろいろの説明法を考えるので、話が余計混乱している嫌いはありますが・・・・。

 <潜在意識という用語で猫さんと大きな開きが出ています。>

 用語の使い方が人によって違うのも当然です。けれども、そのために、互いの話が理解できないというのは残念ですので、出来るだけ、それぞれが用語に持たせる意味を説明した上で、調整できるところは調整しながら話をしたいと思います。私は用語というのは単なる符牒にすぎないのと思いますので、もし「意味のある名前」を使うことによって理解が混乱するようであれば、クォークとかブージャムと言った無意味語を持ってきて新しく定義してもいいと思いますが・・・。

 <お前の考えはどうなのか聞かれれば、現時点で3段階で・・・>

 現在の人間の姿をとらえるだけであれば、3段階でもマトリックスでも大した違いはないと思います。ただ、これから「不如意解消」あるいは「霊性回復」のプロセスを論じようとするのであれば、3段階では不十分だと感じて、マトリックスを考えたわけです。もちろん、どこまでいっても、このような説明は比喩にすぎないのですが・・・

 以上を前置きとして、少し用語を変えてもう一度トライしてみたいと思います。

 アリスさんが最後に書かれた

   <愛のエネルギー=神の意思;

     そのエネルギーは  

    エゴ≦霊≦神  となります。>

は、私もそのとおりだと思います。この式によれば、意識の中に(エゴも霊も意識の一種ですから)エネルギーレベルの高いものと低いものがあることになりますが、そのことをアリスさんはお認めになりますか?次のマトリックスはそれを利用して表現しています。赤字はアリスさんの用語を当てはめたつもりです。

表5 人間の現在の意識状態

 

自覚している部分

(顕在意識)

自覚していない部分

(潜在意識)

エネルギーの高い部分(霊)

A(=empty

エネルギーの低い部分(エゴ)

 この表は全体で一人の人間の意識を示しています。A,B,C,Dという四つの領域がありますが、この全部をあわせたものがひとりの人間の意識を構成します。霊とエゴと分けても、別々のものではなく、私たちの意識の中のエネルギーの高いものと低いものという意味です。

 私たちが自覚できるのは顕在意識だけですから、私たちはC+Aを自分であると考えます。(アリスさんが<顕在意識=エゴ>と書かれたのは、この意味かも知れないと思いました。)けれども、現在の人間のA領域は空っぽだと、私は考えています。したがって結果的に、私たちは、オレンジ色をつけたC領域だけを自分だと考えています。このことがさまざまな不如意問題を引き起こすもとなのです。(これについては、先で話をすることになると思います。)

 アリスさんは一方で<エゴ≦霊≦神>と書かれているので、アリスさんのエゴはAを含まない、Cだけを指すのかもしれない、と思います。現在はA領域が空っぽですから、C+Aでも、Cでも同じことですが、将来、霊性を回復する過程ではAが空でなくなりますから、この二つは区別しておく必要があります。

 私がエゴという場合はC+Dを意味しています。

 これが私の、人間の現状についての理解ですが、これについて何かご質問があおりでしょうか。なお、一応、エゴと霊という言葉を説明しましたが、話が混乱するようなので、今後はこれらの言葉は出来るだけ使わないほうがいいかと考えています。

 

117 アリス:私の言葉を表5に当てはめられましたが、私のモデルはマトリックスでは表現できません。

 しいて言えばADとはないものになりますが、集合論の記号を使えば、

顕在意識・エゴ⊂潜在意識・霊⊂超意識・神の関係です。⊂の変わりに⊆を使えばすべてが同じになりますがその可能性を持っていると考えます。

なお、一応、エゴと霊という言葉を説明しましたが、話が混乱するようなので、今後はこれらの言葉は出来るだけ使わないほうがいいかと考えています。>とのことですが、これまでの用語のどれでお話を進められますか?

 表5をお使いの場合、卵の殻はBに入ると思っていいのでしょうか?

そのことを明らかにした後は、私のモデルにとらわれず、お話をお進めください。

 

118 猫 : <しいて言えばADとはないものになりますが・・・>といわれたので、アリスさんのお考えが大体わかりました。けれども、私はこれには賛成できません。私は「不如意問題」というのは、Dの存在によって引き起こされると考えているからです。

 なお<表6をお使いの場合、卵の殻はBに入ると思っていいのでしょうか?>というご質問は、意味がよくわかりません。殻は単なる境界線であって、壁があるわけではないからです。しいて言えば、右図のような台地を考えてください。壁はなくても境界があるという意味がお分かりいただけるのではないでしょうか。(絵は下手ですが、スクリーンを立てて野外劇場のつもりです。)

 最後に、図1を表5のマトリックスに入れるとどうなるかということを表6に表現しました。これで、マトリックスと図1の関係がご理解いただけると思います。

表6 図1のマトリックス表示

 

自覚している部分

自覚していない部分

エネルギーの高い部分

 

ピンクの部分

エネルギーの低い部分

SC

 さて、こんなことばかりしていてもしようがないので、少し話を進めます。

 私たちの心には、たくさんの考えや信念、感情、記憶、意志、欲望などがあります。これらの中には、自分で気づいているものと、自分自身が気づいていないものがあります。いわゆる無意識の信念とか、無意識の欲望といったものです。上の表では、自分で気づいているものがC、気づいていないものがSCに分類されます。

 SCの中にどんなものがあるのかという一例として、「人間は何か食べなければ生きていけない」という信念を考えてみます。

 私たちは毎日、朝から晩まで何か食べています。私も毎日三度の食事をして、おまけにときには間食までします。私たちは食べることを楽しむだけでなく、食べなければ生きていけないという条件に縛られています。実際、何日も絶食したら、その人は間違いなく餓死するでしょう。したがって、誰もが、「人間は何か食べなかったら死んでしまう」と信じています。

 私たちは、この信念は事実に基づいていると考えています。食べなければ死ぬという事実があるからです。けれども、霊的な真理はその逆だと教えます。私たちは「食べなければ死ぬ」という信念を持っているので、「食べなければ死ぬ」という現実が生じるのです。

 このように話題にすれば、「なるほど私たちはたしかに食べなければ死ぬと信じているな」とわかります。けれども、ふだんは、私たちはそんなことは忘れています。ただ何も考えずに、食べなければお腹がすく、何か食べたくなる、食べれば元気が出る、ということを毎日繰り返しています。私たちが忘れているときでも、この信念はSCのなかにしっかりと根付いていて、私たちが体験する毎日の現実を作り出してくれているのです。

 このように言うと、生まれたばかりの赤ん坊でも食べなければ死ぬではないかと思われるかもしれません。そのとおりです。そして、それは、生まれたばかりの赤ん坊も、SCのなかにそのような信念を持って生まれてくる、ということなのです。そもそも、SCの中にさまざまな信念が存在していなかったら、その赤ん坊が肉体を持つことさえもないのです。

 したがって、もしこの「食べなければ死ぬ」という信念を捨てて、「何も食べなくても生きていられる」「光を浴びれば、肉体の維持に必要なエネルギーは取り入れることができる」といった信念で置き換えることが出来た人は、ほんとうに何も食べなくても生きていられるようになります。けれども、それはみかけほど簡単なことではありません。「信念を取り替えれば、食べなくても生きていられる」ということを信じるのと、「食べなくても生きていられる」ということを信じるのとでは、雲泥の開きがあるからです。それは「飛行機に乗れば空を飛ぶことが出来る」と信じるのと、実際に飛行機に乗るのとの違いのようなものです。

 不如意問題を解決するのも、原理は同じです。自分にとって不都合な現実を作り出す信念を探り出して、それを好都合な現実を作り出してくれる信念に置き換えればいいのです。

 

119 アリス:お話を先にお進めください。猫さんの思考の流れにそって最後までお話ください。

  【独白】 備忘として独白をつけておきますが、今の時点で無視してください。

@    ずっと卵型のモデルで考えてきたのに、殻がなくなって残念だな!今度は台地なのだが、これはもともとあるのかしら?それも沢山。後でこの台地も実は仮想のものということになるのかしら?このあたりが猫さんと違うところかもしれない。

A    もともとSCにあったものが、Cになるのかしら?少し前のお話では、SCはCのゴミ捨て場のような感じだったけど。

B    表で意識する分部(表6では自覚する部分)とそうでない分部に分けあるが、この意識(自覚)の主体は何なのだろ?

 <私たちの心には、たくさんの考えや信念、感情、記憶、意志、欲望などがあります。これらの中には、自分で気づいているものと、自分自身が気づいていないものがあります。いわゆる無意識の信念とか、無意識の欲望といったものです。上の表では、自分で気づいているものがC、気づいていないものがSCに分類されます。

これが分らないな。表6で言えば「エネルギーの高い部分」には考えや信念、感情、記憶、意志、欲望はないのかしら?

 

120 猫 : 独白の内容については、おっしゃるとおり無視しますが、これまでのところ、アリスさんは私が新しいたとえを作り出すたびに、新しい混乱を感じておられるようです。

 私がたくさんのたとえを作り出すのは、たとえの表現形式には意味がないことを悟ってもらいたいからです。ついでに、もう少し、いくつかのたとえを書いておきます。私から見れば、すべては同じことを言っているつもりです。

表7 放送局モデル

 

自覚している部分

(エゴ)

(受信局)

(クライアント)

自覚していない部分

(霊)

(放送局)

(サーバー)

エネルギーの高い部分

 

 

 

 

エネルギーの低い部分

 

 

 

 

受信チャネル

肉体は永遠である

 

 

 

 

肉体は老化する

 

 たとえば、エネルギーの低いチャネルでは「肉体は老化する」という現実が放送されています。エネルギーの高いチャネルでは「肉体は永遠の生命を持っている」という放送がされています。エゴは自分が受信するチャネルを変えることによって、どんな世界を体験するかを選択します。(これはホームページの「A3 霊的存在とは」に書いています。)

 

自然公園モデル

 これは「自分を探すアリス」の中でお話しました。私たちは神の大自然公園を観光して歩く観光客です。地獄谷でも、お花畑でも、自由に見に行くことが出来ます。けれども、行き先を適切に選ぶのは自分の責任です。高山植物を見たいと思って地獄谷に行っても、美しい花を見ることはできません。

 

色眼鏡モデル

 私たちは色眼鏡をかけて神が作った完璧な世界を見ています。赤い眼鏡をかければすべてが赤く見え、青い眼鏡をかければすべてが青く見えます。どんな眼鏡でも、自分の好きな眼鏡をかけて見ていいのですが、問題は、私たちが自分が色眼鏡をかけていることに気づいていないことです。

 

 いくらでも説明用のモデルを作ることは出来ますが、不如意を解消するためにしなければならないことは同じです。それは結局のところ、一つしかありません。それは、自分の心を愛で一杯にすることです。

 私は「愛エネルギー」という言葉を使います。それは、愛が、単なる行動ではなく、心の姿勢だからであり、それが現実を作り出す力を持っているからです。心に愛エネルギーが満ちていれば、愛にあふれた世界をを体験し、怖れが満ちていれば怖れに満ちた世界を体験します。なぜなら、私たちが体験する世界は、すべて自分が選ぶものだからです。

 けれども、選ぶといっても、あなたが頭で考えて、勝手な世界を選ぶことはできません。あなたが体験するのは、あなたが持っているエネルギーの波長に最も近い世界です。それは自動的に決まります。テレビの受信機が、自分で発信する電波と同じ波長のチャネルを受信するように、私たちは自分自身と同じ波長のチャネルを受信するのです。

 ここで波長という言葉が出てきて、また戸惑われることでしょう。これも比喩の一つです。エネルギーの高い光は短い波長を持ち、エネルギーの低い光は長い波長を持ちます。したがって比喩的に言えば、私たちはすべて自分のエネルギーに対応した固有の波長を持っています。そして、それが自分が体験する世界を引き寄せるのです。

 エネルギーの低い心とは、恐れ・怒り・嫌悪・非難・軽蔑・後悔・絶望といった感情に満ちている心です。また、自他の分離・峻別、物質世界の制約などの信念、競争・闘争・支配などの欲望に満ちている心です。心の中にこのようなものがあれば、そのようなものに満ちあふれた世界に生きることになります。

 エネルギーの高い心とは、無条件の愛・無条件のゆるし・祝福・好意・尊敬・希望などの感情に満ちている心です。また、他者への関心、物質を超えるものへの信頼、協力・友情・支援といった欲望?を持っています。心がそのようなものに満たされて来ると、そのようなものに満たされた世界に住むようになります。地球全体がそうなっていなくても、あなたの身の回りはそういうもので満たされうようになります。それは砂漠でオアシスに住むようなものです。

 オアシスに住みたかったら、自分がオアシスになりなさい!・・・これが、すべての不如意を解消する方法です。

 では、エネルギーの低い観念や感情に満ちた人が、心に愛を満たすようになるにはどうしたらいいのでしょうか。

 それは、かつて私たちが、地球時間でどれくらい昔になるのか知りませんが、はるかな高みからこの低エネルギーの世界に降りてくるために使った方法を、そのまま使えばいいのです。

 まず頭で考えること・・・何百回も何千回も何万回も考えて、自他一体、無条件の愛、物質世界が幻想であること、などの観念に慣れてください。私がさまざまな譬えを作り出すのは、そのための材料を提供しようとしているのです。

 その次に、その観念を感情をもって受け入れてください。何度でも繰り返し繰り返し、その観念を感情をもって味わい、それがごく自然な発想になるまで、なじんでください。誰かほかの人が、たとえば「自他一体なんて嘘だ」と叫んでも、別に議論したりする必要はありません。人は人です。他人の考えがあなたの世界を決めるわけではありません。あなたの心にあるものがあなたの世界を決めるのです。

 こうして、エネルギーレベルの高い観念や感情があなたの心に自然なものとして染み付いていくと、それは潜在意識の中に静かに沈んでいきます。そして、やがていつの間にか外界がそれによって変えられるようになっていきます。

 私たちは、これと同じ方法で、本来霊にとっては「嘘」であった「自他分離」の思想を潜在意識に染み込ませ、そして現在のような敵対的個人主義の世界を作り出してきたのです。あるいは、放送モデルによれば、それを放送しているチャネルに波長を合わせたのだとも言えるでしょう。敵対的個人主義世界も一つの世界です。それが、神の国のどこかにあったとしても不思議ではありません。神の中にはあらゆるものがあるからです。

 けれども、もしあなたが違う世界を体験しようと思うなら、あなたがその世界を作り出してきたのと同じ方法で別の世界に移ることができます。私は、「自分を探すアリス」の中で、お花畑に行く方法と、自然公園から抜け出す方法を別のものであるかのように説明しました。けれども、結局のところ、それは同じなのだと、今は考えています。自分の心を変えることがすべてなのです。

 これで、不如意解消の話を終わります。ご質問があればどうぞ。

 

121 アリス:丁寧に説明してくださってありがとうございました。

表7はエゴと霊が横軸に移り私の思っているモデルに近くなり、大分お話理解できるようになりました。

心に愛のエネルギーを注ぎ、チャネルを切り替えていく実践をすることですね。

ところで、<あなたの心にあるものがあなたの世界を決めるのです。>とおっしゃる「心」はこれまでのお話の流れでは心=自覚している部分(エゴ)+自覚していない部分(霊)となりますが、愛のエネルギーを注ぐ主体は自覚している部分ということでしょうか

 

122 猫 : 私は、先ほど述べたモデルのほかに、電球モデルというのをときどき使います。特にクリスチャンを相手にしたときによく使うモデルです。

 クリスチャンは、よく「私は土の器です」と言います。「土の器」とは、見栄えも良くないし、壊れやすいし、たいして価値がないと謙遜して言っているのですが、私の言い方は少し違います。私は「人間は電球だ」と言います。電球というのは、電気が流れなければただのガラスの器ですが、電気が流れれば、美しく輝いて、人々を照らします。輝くのは電気ですが、電気は電球がなかったら輝くことができないのです。

 愛のエネルギーを注ぐ主体は、自覚している部分です。私たちが動けるのはそこしかありません。けれども、愛エネルギーそのものは、神から来ます。いわば、私たちは愛エネルギーの流れるチャネルなのです。出来るだけ多くの愛エネルギーが、自分を通して、世界に流れていくようにするのが私たちの任務だと考えています。

07/6/6

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